終末期宣言

終末期を考える市民の会 会報誌63号
                             2006年6月20日発行 無断転載不可 

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(1〜3頁) 在宅医療支援は賛成だが家での看取りに100,000円?!
医療制度改革関連法案は新高齢者医療制度(介護保険との一体化)療養病床の廃止・削減(38万床→15万床)混合診療の拡大(私費医療の拡大)で
国民皆保険がつぶれるのではないか?


今年四月の介護保険改正にともなって、医療報酬も一部改定され、在宅での看取りには、条件を満たせば一万点(十万円)在宅療養支援診療所には出しますとなった。8割が病院で死に在宅死は13%という状況をそのままにしてはおけず、在宅死の方向に向う流れを求めてのことであろうが、その後に医療制度改革関連法案の採決が続くとは知らなかった。
このままでは国民皆保険制度がもたないとして経済財政諮間会議から「骨太の方針」が二〇〇一年六月に示され、厚労省の改革推進本部事務局から「医療制度改革の課題と視点」が出されたときは学習会を開き、会としての意見を省事務局に出し、賛同の署名を集めたりしたが、その後着々と国会でも委員会を設け、閣議決定を行い、介護保険改正後に、医療制度改革関連法案を国会に出したときには、野党も反対を強く言っても仕方が無い、これは既に論議を尽くされており、与党賛成多数で通ってもやむを得ないとあきらめ、報道関係も詳しくは取り上げない状態になっていた。
しかし、新高齢者医療制度は、医療保険と切り離しての介護保険との一体化や、国民保険と杜会保険(政府管掌と組合保険)の統合も平成一八年にはという視野にあり、38万床の療養病床を15万床に削減して、23万床は老人保健施設や有料老人ホーム、地域医療拠点への転換を期待し、混合診療の拡大(保険の利かない薬や医療)、企業(株式会杜)参入の解禁、地方自治体への医療費適正化計画の義務付けなどの内容が盛りこまれている。
単に高齢者の2割から3割への負担増だけではなく、国民皆保険制度の崩壊へつながる危険性を感じざるをえない。

介護保険はどう変わったか

病院死から在宅死へ流れは変わるか
 


(4頁) 富山県射水市民病院の呼吸器取り外し事件は安楽死事件ではない 
         
  背景
  東海大学安楽死事件の横浜地裁判決 治療行為の中止は、患者の自己決定権と医師の治療義務の限界を根拠に許される


(5頁) 尊厳死法制化について
終末期を考える市民の会2006.5.17.
法律の名称は「自己決定権法」がよい
法制化については目本尊厳死鶴会が昨年から「尊厳死法制化を考える議員連盟」(会長 中山太郎衆院議員)を作って具体的に動いている。リビングウイルの法制化は、私たちも求めておりもちろん賛成だが、法律の名称は「尊厳死法」より「自己決定権法」が良い。
理由は以下の通り。
1.尊厳死という言葉は、尊厳死協会では「徒な延命措置を止めること」をいうが、それ以外にも「尊く厳な死」に一般名詞として広く長く使われており、誤解と混乱を生ずる恐れがある。
2.アメリカでは、徒な延命錯置を止めても良いという法律は「自然死法」として1976年カリホルニア州で法制化された。以後次第に全州で同様の法律が作られるが、「事前の指示書」として選択肢を設けたり、意識喪失後の「医療代理人」の指名を含めている州が多い。そのような状況を背景に1990年合衆国連邦政府が「自己決定権法」を制定した。翌91年法を施行するにあたって公的医療福祉機関には、その州の「自然死法」や「事前の指示書」「ドナーカード」などの自己決定に関する法や文書の全てを、成人患者全員に配布して説明し、本人が文書を作成したい場合には援助しなければならないと義務付けた。
3.その後、1991年から「自然死法」を「尊厳死法」に変える提案が3つの州で出され、住民投票が行われた。ワシントン州カリフォルニア州では否決されたが、オレゴン州では賛成多数で「才レゴン州尊厳死法」が制定された。その内容は条件を満たしておれば医師が致死量の薬剤を処方箋に書いて渡して良いというもので、自殺幇助であり、積極的安楽死にあたり、日本尊厳死協会でも、それは認めない」はずである。
4,私たちは、1990年8月「終末期宣言」を提示して「終末期を考える市民の会」を立ち上げ、「終末期宣言は自己決定権」を憲法第13条の基本的人権に直接関わる重要問題であると主張し続けてきた。
1991年5月には、生活共同組合医療部会が「患者の権利章典」で自己決定権を基本権として上げ、同年「患者の権利法をつくる会」が、自己決定権を医療における基本権の一つとして上げた「要綱案」を7月に発表し,11月に発会した。
以上の日本およびアメリカや世界の状況と経過に照らして、リビングウィルを法制化する場合の名称は「自己決定権法」が良いと考える。その施行に当たって配付・説明すべき文書には「尊厳死の宣言書」「終末期宣言書」や「ドナーカード」が含まれるべきである。
また法律の内容については、医療方針などについて拒否するか、受け入れるかの選択肢を設けるべきであり、意識が無くなった後の医療代理人の任命も不可欠であると考える。また植物状態や認知症、年齢など、なお検討すべき課題も多いと考える。
以上について、今後の国会や、関連団体の動きを見ながら、適宜間題を掘り下げつつ発言していきたい。


(6頁) 秋の講演会

演題(仮)最期まで、悔いなく生きる
講師 大村 洋永
(オオムラ ヒロナガ) 氏
       至誠キートス・ホーム園長(キートスはありがとうの意)
       立川市老人福祉施設会会長
       著書「ユニットケアはいかにして創られたか」(共著)

日 時:10月7日(土)もしくは21日(土) 午後
会 場:文京区内施設

次回会報でお知らせいたします。


(6頁) 「小学習会」

日 時:7月3日(毎月第1月曜日) 午後7から9時
会 場:チムニ(2階談話室)
(東京 営団地下鉄千代田線 千駄木駅下車 道灌山出口右隣の洋風居酒屋の2階

課題 改訂された医療福祉制度・死の起源と進化


編集後記
今国会に提出している法案の中で、教育基本法より憲法改正のための国民投票法案より、.何よりも適したかったのが「医療制度改革関連法案」だったことが、31日になってようやく分かった。新聞もテレビもなにも知らせない中で、この法案の成立の見通しがたったことで、その他の重要法案を「ポスト小泉」に委ねる、と読売新聞の一面記事を見て初めて分かった。
5年間打つべき手をすべて打って、通した。政治家のやりかたが分かったと言って済ませていいことか?
(F・N)。


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